夜明けのすべて
いつか夜明けがやってくる。
誰もかれも何かしらの闇を抱えているかもしれないし、抱えていないかもしれない。
日常の中にもその闇から抜け出すかすかな光は存在するかもしれないし、しないかもしれない。気づいていないだけかもしれない。
行動を起こしたものだけが救われるわけでもない。
誰もが互いに助け合う。
助け合うと表現すると強すぎるかもしれない。手を差し伸べる・・・手を差し伸べようとしてみるくらいの感覚。それくらい、手を添えてあげようくらいのささやきをこの映画から感じる。
「夜明け」という言葉が表す光のグラデーションを、ほころびのないライティングを通して、丁寧に丁寧に綴っていた。
光の強弱、淡さ、影、空、天候。
語りすぎない登場人物の心象を代弁する。
あらゆる人の救いになる映画だと思う。
日本映画にとっても、観る人にとっても、制作者にとっても。
映画の出来、脚本、演出、美術、スタイリング、すべてに感動して、
後半15分くらいはずーーーっと泣いてしまった。
ささいな演出で泣けた。
これは100点です。