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(91)山本KIDの愛と夢 〜IT WAS ALL A DREAM〜


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神の子。

生い立ちや彼自身のオーラ含め、この言葉が似合う格闘家は彼以外いない。

 

リアルタイムで観ていた私からすると、あの存在感やタレント性、センス、運、オーラはとびっきりに特別だった。

そんな彼のドキュメンタリー。

 

彼のファンとしての私の感想としては、見たかったものではなかった。

権利の問題で、使えない試合があるのもわかる。故人として描く限界があるのもわかる。

この作品は、時系列で彼の生涯をなぞるように描いている。これはこれで素晴らしいし、意味はある。多くの人が、彼を語り、人物像を浮き上がらせる構成も大変だったと思う。彼の後継者、アーセンで、歴史は続いている、、、というような形で締めたくなるのもわかる。

 

正直な感想、何が言いたかったのか、作品からは伝わらなかった。

前半と後半での構成がチグハグで、後半に行くにつれてKIDがカッコ悪くなって行く。そのような印象を受けて、少し腹が立ってきたりもした。最後の方の車でのインタビューなんかいるか?カッコ悪い。

 

山本KIDという選手は多くの格闘技好きの中で、強さやかっこよさを残したままこの世を去った存在だったはず。

 

もっと、カッコよく描くべきだし、こんな強い奴がいたなんて!と、今、彼を知らなかった人に、そう思わせる。そんな作品であるべきだったはず。

 

とはいえ、この作品、しがらみもかなり多かったとは思う。思い入れもあるだろうし、編集で切りたくても切れない人もいただろう。

 

素材はそのままで、構成を入れ替えて、編集するだけでよくなる気はする。

この作品をどう構成すればさらに良くなるか、考えてみた。

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初めは、亡くなったグアムから始めたい。KIDはもうこの世にいない。その、亡くなった事実を改めて、視聴者に突き付けたい。

彼を看ていたグアム人?の方のインタビューでスタートしてもいい。誰これ?という冒頭での違和感は大事。FIRSTスラムダンクが沖縄から始まるように。

 

あとは、強かった事実や、彼がどう強かったのか。ただ、それをひたすら見せて欲しい。彼に勝った選手からも語らせたい。

魔裟斗が語るKIDもおもろいけど、試合の解説はいらんのですよ。なぜ強かったのか、彼の強みは。それが知りたかった。長すぎ。YouTubeとちゃうねんから。

 

宮田のインタビューももっと削っていい。むしろいらないかも。あとは、窪塚の墓参りシーンとか、姉ちゃんが海沿い歩いてるシーンもほんといらない。エンドロールの試合も不用。

KIDのインタビューも大半が不用。UFCの言い訳や、「もしRIZINに出たら」と語っているインタビューもいらない。マジでダサいから。あんなKIDは観たくない。

 

彼がどこにこだわり、どのようにトレーニングして、何を大切にしていたのか。そんなインタビューだけを紡いで、1時間程度にしてほしい。

 

あんな選手は二度と現れないですよ。と誰かが言ってあれば、それがラストでもいい。

 

IT WAS ALL A DREAMではない。

それを否定する作品でなければならなかったのではないのか?

タイトルもこれでいいんじゃね?

 

「神の子 IT WAS NOT ALL A DREAM」

 

違う監督の描くKIDもみたくなりました。

 

60点