炙るあざとさ 炙らない正直さ

刺身とか映画とかあれとかそれ

(56)マイ・インターン

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出典:マイ・インターン : フォトギャラリー 画像(6) - 映画.com

 

マイ・インターン

若手女社長にシニアインターンで入った老紳士がアドバイスしてあげるという、なんてことのない映画ではあるんですが、めちゃくちゃいい映画です。
何がそうさせてるかって、アン・ハサウェイロバート・デ・ニーロ。この二人が醸し出すそれっぽい雰囲気がもうすばらしい。もちろん脚本もいいんですけど、演者である二人、特にロバート・デ・ニーロの役者の最高峰といえる姿。味がありますよねぇ。うまい。
立ち振る舞い、話し方、服の着こなし、驚き方、全てがその人の人となりを表現している。
アン・ハサウェイのちょっと気性が荒そうな顔つきもいい。
仕事に対する考え方なんかもちょっと参考になる、ほんといい映画です。
アン・ハサウェイもすばらしいんですが、ロバート・デ・ニーロが最高な映画!

 

点数:88点

(55)ケンとカズ

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出典:ケンとカズ : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

ケンとカズ

Twitterでフォローしてる水道橋博士がやたらと絶賛されてて、宇多丸師匠のウィークエンドシャッフルでも以前候補に入っていたので気になっていた作品。最近知り合った、おもしろい友人がめちゃくちゃ気になってる作品と言っていたので、公開終了前に観ておこうと思って下北沢トリウッドに滑り込みで観に行ってきました。

ドラッグの売り子として、ヤクザに使われながら生活するケン(カトウシンスケ)とカズ(毎熊克也)の青春?映画。

結論から言いますと、この映画はすごい。主演二人でしっかりと映画を形成していて、そこの土台がかなりしっかりしている。登場人物は極端に少ないです。ただそれが良い。二人の心情に集中でき、揺れ動く二人の考え方まで脳内に入り込んでくるようで、観ている側までプレッシャーがかかる。手汗びちゃびちゃでした。

映画の質量はもちろん、重いです。とある方が「この映画で描かれている世界が地続きの現実とは思えないから、この映画はダメでした」という評論をされていたのですが、私は真逆でした。知り合いで元ヤクザ屋さんがいて、ホントかウソかわからない怖い話をよく聞いたので、「この世界はすぐそこにあるのかも」と感じながら観れてしまったので、余計に怖かった。フィクションであることはもちろんわかっていますが、映画の中での葛藤、人間関係、世界観含め、等身大のリアルが描かれていた気がする。そんなきつくて悲しい話を映画として成り立たせる監督の手腕に脱帽です。てか、監督の小路紘史さん1986年生まれって年下かよ!すげぇな。説明を入れず、画やセリフでわからせる監督の脚本・手法も素晴らしかったですが、無名の演者の方々も素晴らしかった。

ケンは目力と存在感が良かった。あと演技力がレベルアップすればいい役者になりそう。カズはめちゃくちゃやりそうやけど、0.1%くらい感じられる優しさの絶妙さが完璧で、いい目してました。藤堂役の高野春樹さんも、笑顔と怖い顔のギャップが最高で、子分の田上役の江原大介さんは怖い雰囲気が100点。簡単に人殺しそうな目。アホそうな、テルの藤原季節も良かった。

本当に誰も救われない映画でしたが、日本映画の未来は救われたと思えるような映画でした。こんな才能が日本にはいるのか、日本映画の今後が楽しみで仕方ないとおもえる傑作でした。重い映画好きには大推薦できます。

この監督の次作が気になる。

 

点数:90点

(54)いきなり先生になったボクが彼女に恋をした

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出典:いきなり先生になったボクが彼女に恋をした : フォトギャラリー 画像(11) - 映画.com

 

いきなり先生になったボクが彼女に恋をした

知り合いが関わっていたので、普通だとまず選ばない映画なのですが、観に行ってきました。

その知り合いにはものすごく申し訳ないのですが、、、これはきつかった。

 

以下ネタバレになる部分と、この映画が好きな人は不快に感じる点があると思うので、読まないでください。

 

 

 

もうね、、、、脚本がどうしようもなくひどい。

日本的な感情の描き方や、表現の部分がなくてほんと何これって感じになるので、怖い。こんなこと日本ではないし、そう考える日本人はいないよと思うシーンが多々ある。

もう冒頭からこの映画あかんわと思ってしまった。

企画・原案・脚本:Kevin DC Chang ということからも、韓国サイドからの企画で立ち上がっているように感じられます。何回も言いますけど、映画の中の日本人の日本人らしさが全然感じられない。

さらに、この「いきなり先生」製作委員会にエイベックスががっつり入っており、

製作:松竹/エイベックス・ヴァンガード/エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ/エイベックス・ミュージック・パブリッシング/エイベックス・ピクチャーズ

参照:映画『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』公式サイト

おそらく、それが最悪な方向に働いているのだと思う。

イェソン(SUPER JUNIOR)をもっと出してくれ。ここのイェソンはそうじゃなくて、こっちの方向でとか。唐突すぎる訳のわからんシーンが多すぎた。

音楽も酷い。音楽というか効果音含めて、ほんとうにひどい。

たぶん、脚本との相性が悪すぎる。

音楽は、釣りバカシリーズをやられている、信田かずおさんという方だそうですが、おそらくこの方は日本人が作った日本的な昔ながらのドタバタコメディー映画なら手腕を発揮される方だとおもう。バネが伸びる音の効果音とか、もうやめてくれよとか思ったんですけど、一定数好きな人もいるでしょう。しかし、この映画は、原案の方がKevin DC Changという韓国の方なので、前述したように脚本が全然日本的でない。

それが一番最悪に働いていたシーンというか、一番恐怖を感じたのシーンがあった。佐々木希演じるさくらが韓国からビジネス目的で来た社長に気に入られて、ホテルの1室で襲われるシーン。はっきりいってこのシーンの演出と音楽の組み合わせには、背筋が凍りついた。

佐々木希を騙して自分の部屋へ連れ込む。嫌がる佐々木希を子を襲おうと、ホテルの広いスイートルーム内を追いかけ回る終始笑顔の韓国人社長(めちゃくちゃ男前)。まじで、本気で嫌がる佐々木希と笑顔で悪気がない様子で追いかける男前。この描き方が本当に怖かった。これ狂人ですよ。おそらくこのシーンを見た多くの人が、高畑裕太のホテル事件を思い浮かべると思う。示談済ませたのに、あれは合意ですよとか後から言いそうな雰囲気。そのシーンを平気で入れる表現は、全く日本的でないし、おかしい。韓国の方の男前のごり押しと発案だと思いますが。そして、それを最大限ポップにしようと狙っているのか、釣りバカの家庭シーン的なドタバタ追いかけ回るような音楽が永遠とバックで流れる。怖くて仕方なかった。もしそれが、恐怖を際立たせる狙いならすごい。黒澤明対位法ですよ。映像と音楽を全く逆で描く。そんな狙い1mmもないと思いますが。あのシーンで正直笑える人なんていないでしょう、このご時世。マジであれはほんとにダメだと思う。ほんとひどい。

 

この映画の救いは、主演のイェソンと佐々木希が美男美女だという点。

 

正直、脚本で変な流れは作る必要なくて、イェソンが佐々木希に韓国語を学ぶシーンをもっともっともっと丁寧に魅せるだけでめっちゃくちゃ良くなる映画だと思う。

1つ修正案としての例ですが、、、

イェソンは先生をしたことがないから、普通の先生が教えないような特殊な日常会話例を佐々木希に教えてしまう。「借金取りに追いかけられている韓国人に道を聞かれたら、「こっちは行き止まりだからあのゴミ箱の中に隠れればいい」と言ってあげてください」みたいなフレーズを教えたり。絶対に使う事なんて無いだろうと佐々木希が思っていたら、街中でまったく同じ境遇で逃げている韓国人に出会い、使う羽目になる。「使った・・・・」と呆然とする佐々木希。こんな吉本新喜劇的なべったべたな内容で良かったと思う。

この流れなら、どんどん案もでます。文化の違いからイェソンとケンカしちゃったりするけど、そのケンカのワードも授業で習ったフレーズで、めちゃくちゃ汚い言葉だったりして韓国語でやりとりしているのに、ケンカも面白い。韓国語での恋愛のやりとりも冒頭に教えちゃったりして「使う事なんて無いですよ~」とか言うけど、ラストシーンで使っちゃって「使うことになりましたね」みたいな。こんなべたべたでいいんですよ。あの美男美女がいたら。

 

なんで、あんな訳のわからん脚本にするかなぁ。

佐々木希が韓国語を学ばないとイケない動機も弱すぎるし、訳のわからん韓国からの社長とか不要。ムダに男前やし、意味が無い。あの社長は気持ち悪い方がいい。それならホテルのシーンも笑えた。帰ってくる元旦那の必要性もゼロ。さらに言えば、冒頭のイェソンが沖縄に行く理由と滞在する理由もあり得ない。

ドタバタコメディーやるなら、実際にありそうな部分はちゃんと筋通して、その中でふざけないと。

あと、絶対にいらないのは巻き戻しの演出。ホントに不要。

佐々木希が可愛い。ただ、それだけです。

 

点数:23点

(53)スクール・オブ・ロック SCHOOL OF ROCK

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出典:School of Rock Movie Review | Plugged In

 

スクール・オブ・ロック SCHOOL OF ROCK

2003年アメリカ公開の映画。

・・・13年間この映画を観なかったことを激しく後悔している。

シナリオはもう、べたべたすぎる内容なんですが、それでいて最高に面白くて出来がいいのは、間違いなく主演のジャック・ブラックの圧倒的なキャラクター。

もう、アホすぎて異常すぎるロックへの愛、口ギターソロとか、地面這うやつとか面白すぎて最高。

映画への賛否両論が地味に分かれてるみたいなのですが、このジャック・ブラックを受け入れられない人が一定数いるみたいなんですね。笑 わからなくもない。

私は、ゲラゲラ笑いながら観てたので、もう最後のシーンとか感動して泣いてました。

子供と音楽が揃って、各キャラクターがしっかり付いていて、何も言うことないですよ。

日本でもこんな映画絶対できる。ってか、影響受けてる映画多いか。13年前やしね。

 

点数:96点!!

(52)ボーダーライン SICARIO

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出典:ボーダーライン : フォトギャラリー 画像(3) - 映画.com

 

ボーダーライン SICARIO

麻薬カルテルモノはブレイキング・バッドから大好きなのですが、これまた違った視点で描かれた本作。面白い。

映画全体はものすごく静か。そして、画が、空が美しい。

FBI捜査官のケイトことエミリー・ブラントが真実を知らされずに麻薬カルテルと立ち向かう事になる。この様は、鑑賞者でも不安になりいらいらする。

しかし、有無を言わせないアレハンドロことベニチオ・デル・トロの存在感。怖い。
水拷問のシーンは詳細が描かれないんですけど、もう尋常じゃないことをしていることが容易に想像できる。怖い。

悪は悪で制す。断絶ではなく良い方の悪で抑える。
こういう話、正直者がバカを見るではないですが、こういう世界が世の中には必ずある。わかる。

プロによるプロの仕事。

邦題のボーダーラインはちょっとイマイチですが、じわじわとくるオススメの映画には間違いない。

 

点数:89点

(51)何者

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出典:何者 : フォトギャラリー 画像(13) - 映画.com

 

何者

大学生就活あるある青春ムービー。
私の就活は10年近く前ですが、友人同士の就活なんて気にしてもしょうが無いのに、気にしてましたねぇ。
時代が変わろうとも、そんな人間関係はそうそう変わらないのかもと思って観てました。
全体的には就活・学生あるあるが面白い。
ただ、話の展開が弱いかな。
あるあるがわかってる人には終始楽しめる話やけど、わからんかったら2時間はきついかも。
 
ただ、演出がめちゃくちゃうまい!これはほんとすごい。
俳優に合わせた配役がすばらしい。演技はもちろん、就活の現場・若者をわかっている人でないとできないと思う。
私もたまに会社の面接官をしますが、こういうやつ受けに来る!!!いるいるこういう学生!!!と思ってニヤニヤしてしまいましたし。
 
「何者」にもなっていない学生達が、何者になろうとしているのか。
この映画で一番好きなシーンは、1分間で自分を表現する「面接と舞台」の対比シーン。明確な意思で「何者か」になろうとしている舞台上の演者達の「熱量」。それが「何者かになれる、ある個性」への道しるべなのではないかと思いました。
就活は学生の熱量を見極める場所でもありますし、熱すぎても引いちゃうし。
ちょうどいい温度感って、企業によっても違うから難しいですよね。
人間いろんな人に対してそれぞれの顔があるのは、平野啓一郎の「私とは何か-個人から分人へ」でも詳しく書かれているので、何者で不快に感じた人は、この本を読むべきだと思います。
人間いろんな顔があって当たり前!
 
点数:82点

(50)華麗なるギャツビー

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出典:華麗なるギャツビー : フォトギャラリー 画像(3) - 映画.com

 

華麗なるギャツビー

美しい映画。

この手の話は、いかにパーティーを魅力的かつ豪華絢爛に描けるかが肝。

それが新旧関わらない音楽に合わせて描けている。音楽の使い方が上手い。

さすが、バズ・ラーマン監督。

そう、ドラマ「THE GET DOWN」観たので、バズ・ラーマンの映画を観たくなって観てみたんです。

人物の描き方も好き。やはりこの監督、言葉の力をすごい信じていると思う。

映像上に文字を登場させる事が好きなのかもしれない。

ヒロインのキャリー・マリガンが日本的でかわいい。好き。

どうでもいいのですが、私と同い年みたい。

いろいろとおもしろいし、凄いんですが、結局色恋に惑わされて、ディカプリオ盲目~状態になるってのがなんとなくストーリー的に解せないなぁ。

そんなところがあり、、、私としては90点止まり。

でも素晴らしい映画。金かかってるやろなぁ。

 

点数:90点