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(47)怒り


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出典:怒り : フォトギャラリー 画像(2) - 映画.com

 

怒り

思わず題字大きくしてみました。

重い映画ですが、観る価値はかなりあります。

おそらく、日本の現役俳優でできる最高峰のシリアスドラマ。

この映画を簡単に言えば、松山ケンイチ綾野剛森山未來、この3人のある共通点と、それをフックに様々な場所で沸き起こる人間ドラマ。そして、その3人をとりまく、渡辺謙宮崎あおい妻夫木聡広瀬すず、佐久本宝。

これらいずれかの俳優が演じる誰かに、ついつい自分を重ねてしまうような映画なのかも。こいつも、こいつも、こんな一面自分にもあるかも。

「怒り」というタイトルですが、映画全体を通して浮かぶ文字は「疑い」。

怒っているのは誰なのか。全員なのか。ならお前は誰に対して怒っているのか。世間、近所の人たち、生まれた環境、沖縄、家庭環境、家族、、、、怒りってなんなんだよと。と、ほんとにいろいろと考えてしまう。

ぜひ見ていただきたいですね。

演技はもう文句の言いようがないです。特に素晴らしいのが、このなかで新人と言われる佐久本宝くん。彼がいい。

もちろん、渡辺謙の田舎のダメお父さん感、妻夫木聡の感情表現、宮崎あおいのアホ感、などなど当たり前のようにすごい人はとりあえず置いておいても、彼はいい。特に目がいい。演技もすばらしいし、助演男優賞あげたい。広瀬すずも尻上がりでかなり良くなっていて最高でした。

あと、登場人物全員が暑そうで、汗ばんでいて、若干脂っぽい肌感をまとっている。さらっとした肌感の人間なんて出てこない。そんなところにもリアルを感じられるいい映画でした。

ただ、全体的に綺麗にまとまりすぎていて、なにか一つ映画に異物が欲しかった。シナリオなのか、人なのか。強烈な気になるような映画のコアになるなにかなのか。それがなかった気がする。おそらく、この映画を語る多くの人が、演技について言及すると思うが、そんなことは映画ではあまり語ることではないような気がする。あのシーン、キャラが強烈で!と語りたいんですよね。

重い映画なのに、綺麗すぎてサラっと観てしまったから、立ち上がれなくなるくらいのもうワンパンチがほしかったっすね。

あと、高畑充希はいらねぇよあそこに。

しかししかし、日本映画の未来は明るい!

 

採点:89点