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(85)万引き家族/家族の姿。是枝映画のリアリズム。


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出典:万引き家族 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

万引き家族

是枝監督パルムドール受賞、本当におめでとうございます。受賞作である本作を公開よりもいち早く、5月27日試写会にて鑑賞してまいりました。

 

『誰も知らない』で母親の育児放棄を描き、ドキュメンタリーかのような子供たち表情を強く印象的で、柳楽優弥の眼力はカンヌで最優秀男優賞をゲットするほど強かった。『そして父になる』では、家族における「血縁」にフォーカスを当て、「家族」という明確な答えがあるようで「実は定義しにくいものなのかも」と思わせる不思議なボールを我々に投げかけました。感情と血の狭間で揺れる福山雅治にムカついたし、泣きましたし。『海街diary』では、可愛すぎる4人の生活をいつまでも見ていたくなる家族像が。あの映画は5時間ものでもいい。美しいからいつまでも見たい(2回目)。『三度目の殺人』では、罪、罰するとは何かを描き、映像美と役所広司の映画でした。

さて、万引き家族

まさしく是枝監督の集大成的映画。世界にも評価され続けていた中で、この作品が受賞したことには、集約された作品性から。ザ・是枝。上に述べた技法に、日本が抱える社会性を匂わせた。そこに意味があり、評価すべきところがあったのかと。

とはいいつつ、画面の中で動く演者がやはり素晴らしいですよ。

 

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出典:万引き家族 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

樹木希林の良さは言うまでもないが、今作でも圧倒的でしたね。入れ歯を外して演じられてるのですが、ミカンの食べ方をマジで観て欲しい。ミカンの食べ方だけで、生活を感じさせ、日本社会の問題を露呈させることができてますもん。まじですごい。樹木希林にBIG UP。松岡茉優はおっぱいがいい。松岡茉優先生は「勝手にふるえてろ」が良すぎたので、もっと明るく動き回る役をやってほしいっす。

 

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出典:万引き家族 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

で、この二人というか、実質主役の城桧吏(ジョウ カイリ)くんですよ。是枝監督の子ども演出のうまさって、どうやっているのかホントに気になる。台本を与えず、その場で教えるというスタイルとは聞いているけど、それだけではないだろうし。目線とか、本当にうまくて、女の子の佐々木みゆちゃんも貧乏な子ども感がでていてすばらしいし。是枝監督の映画は子どもですねぇやはり。

 

 あとは、安藤サクラリリー・フランキーのそうめんシーンね。リリーフランキーはSWITCHのインタビューで一番汚い?濡れ場にしようとかいって挑んだらしくて。でもどこか、湿度高くて、アイテムも日本的で、尊いんですよね。

 

池脇千鶴も出てくるのですが、やはりあんな感じの世話焼き、横やり口出しおばさん役やらせたら天下一品すね。毎回そんな気がする。

 

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出典:万引き家族 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

ケンドリック・ラマーのピューリッツァー賞受賞もそうですが、作品から感じられる社会問題が地に足に付いたリアルであればあるほど評価する。世界の評価の潮流はそんな方向にあるのかもですね。

社会問題を明確に描いているわけでもなく、リアルをみつけてきて描いているようで。これは嘘じゃないと感じさせる。ドキュメンタリー出身である是枝監督の魅力は、まさしくその力量にある。

この作品は、嘘じゃない。その力はニュースで語るよりも強い。

 

世界がそう思ったんでしょう。

 

点数:88点