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(83)そして父になる/是枝監督おめでとうございます


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出典:そして父になる : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

そして父になる

映画「万引き家族」によるパルムドールの受賞。是枝監督おめでとうございます。

コンスタントに映画を作り続ける監督でかつ、すべて良作という化け物監督。スタッフが呆れるほど、編集を何度も繰り返す徹底っぷりだそうで。ほんとうに映画好きな監督で、作品愛がそれぞれの映画から感じられます。

そして、なぜか最近までずっと観ていなかった「そして父になる」も、家族を描いた作品としてはすばらしい映画でした。パルムドール受賞という、すばらしい機会なので感想を書いておこうかと思います。

 

出生時に取り違えられた子どもと、その両家族の顛末、心模様が描かれている本作。

この作品はとにかく心が痛い。

都会のタワマン在住で、大企業に所属するエリートサラリーマンである、福山雅治演じる父。かたや一方は、北関東の田舎町で「町の電気屋」を営んでいる、リリーフランキー演じる父。この二人、、、いや、この二人が父である「両家族」の描写を通して、さまざまな「家族の幸せ」の形について、観客に問いかける。

 

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出典:そして父になる : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

福山雅治演じる父は、仕事があれば、土日も出勤。家でも仕事。家族とのコミュニケーションはあくまで、空いている時間に。仕事で家族サービスもできず妻との口論もざらに。会社での評価は高く、仕事の優先順位は何よりも高い。それに伴う給料は生活スタイルや車、家から見える景色が物語っている。

 

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出典:そして父になる : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

それに反して、リリーフランキー演じる父。自営業であるため、家族と触れあう時間だけは山ほどある。描写からも家族との時間を最も大切にしているように感じられる。車は、家業である電気店の店名が入った軽バン。経済面も含めて、あまりに対照的な両家族。

 

この家族に起こる、子どもの取り違え。

 

発覚は子どもが6才になったタイミング。自我も芽生え、なんとも遅すぎるタイミングである。

病院を交えた様々な議論。両家族間の交流。子どもをどうするのか。家族の幸せとは。金なのか。時間なのか。6年というともに育った時間。血縁という繋がりを優先するのか。

様々な投げかけがありすぎて、私は正直とまどいました。2時間あまりの時間で、答えは出るのか?いや、ここに答えはないのか。当事者にしか決められないことであり、ここで言う当事者は本質的な主人公でもある父、福山雅治。その福山雅治がどのような答えを出すのか。

そのラストに、私は感涙しました。

さまざまな家族の形があってよくて、その家族内での接し方も様々。家族の数だけ幸せの種類があり、不幸もまた同様。そのなかで、この映画における「解」を示した是枝監督の力量にあっぱれです。

 

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出典:そして父になる : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

是枝ファミリーでは常連の樹木希林が、今回もすばらしいです。第三者というか、もっと達観した視点からのアドバイスというか、どこかおかしみを持って接する姿に、この映画のなかの安らぎがあります。

 

万引き家族、見逃せないですね。

 

90点