炙るあざとさ 炙らない正直さ

刺身とか映画とかあれとかそれ

(76)ムーンライト/何もないけど、なんか残る。


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仕事に時間取られて、さぼってしまって、間が空いてしまいました。

誰も読んでないかも知れませんが、久々にポストします。

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出展:ムーンライト : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

ムーンライト

ライムスター宇多丸先生のタマフルでも取り上げられてたこともあり、アカデミー賞の作品賞で、なんとなくBGLT系の映画でかつ、カラリストがかなり独特との前情報程度で観に行ってきました。

最初のシーンから何か独特な雰囲気。

治安が悪そうな雰囲気を、頭悪そうなドラッグディーラー、ツケをためている中毒者のやりとりで表現し、話している英語の聞き取りにくさ、映る風景の荒廃具合から、匂わせる。

本題は同性愛者である主人公シャロンの姿を、少年時代、10代、大人の3幕に分けて描く映画。正直、ストーリーについては情報無しだったので、主人公がゲイの映画と途中まで気付かずで、ミスりました。主人公がゲイっていう視点で観ると冒頭からのシーンもかなり違う視点で観られたと思います。

リトル時代に出てくるフアン(マハーシャラ・アリ)が一番よかったなぁ。中毒者には説教しているのに、ドラッグディーラーである矛盾を用いた人間像。成り行きでみることになったシャロンの面倒を、途中からは何かへの罪悪感、責任感から世話をみているかのように変わる雰囲気の醸し出し方。あの空気感はそうそう普通の俳優には出せないと思う。

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出典:ムーンライト : フォトギャラリー 画像(8) - 映画.com

 

特筆すべきは、映画全体に漂う「空気感」

あえてピントを固定して、演者の動きで合わせる独特なカメラワークや、黒人の肌のパキッとした黒光りの色。私程度のリスニングでは全く聞き取れない台詞回しのリアル感。月明かりのようにぼんやりとしたストーリー。

「ムーンライト」というタイトルでさえ評価できる作品。

映画を観ているのに、小説を読んだ後の読後感ににているような感覚におちいる不思議な映画でした。

何もないんですけど、何かあったような。

観た後に、映画の中のストーリーの意味を探してしまう映画でした。

良作です。

 

点数:89点