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(71)二重生活(2016)/う~ん・・・三河弁で言うと「たるい」


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出典:二重生活 : フォトギャラリー 画像(2) - 映画.com

 

二重生活

「現代における人間の実在とはなにか(うる覚え)」という論文を書くために、ある一人の人間を尾行することになった女学生の話。

正直、本当に退屈な話だった。言いたいことはなんとなくわかる。長回しとかワンカットを長くして、演者をしっかり観せたいのもわかる。ただただ、テンポが悪すぎる。

長谷川さんを尾行するくだりはもっともっとシュリンクしていい。全体であと20分は編集で短くできる。

あと、出演者のキャラももうひとつ描き切れていない。

尾行がバレてからも論文を書きたいと泣きわめく門脇麦の動機がわからない。菅田くんと同棲してるのに、論文が自分の存在を示す唯一のツールとは思えないし。院生が論文にこだわるのもわかるが、なかなか褒めないリリーさんが褒めてくれたから?

ほぼ犯罪の手法で、論文ネタを勧めるリリーさんもリリーさん。ストーカー条例でアウト間違いなしでしょ。証拠もあるし。

長谷川さんも、不倫がバレたのは尾行のせいだというが、確実に門脇麦のせいではない。あと、編集者が作家に対してまるまる章を削れというには、言い方があるやろ。

こういう映画作るなら、論文の考察と尾行をナレとかでクロスさせるような描き方が見たかった。「尾行→論文の一説を執筆→尾行→論文執筆→・・・」のようにして、この尾行からこの子はこんなことを考えるのか、と、徐々に門脇麦の考えに観客がシンクロして行くような構造。だからこの子はこの人物への「尾行」にはまってしまっているのか、となる構成の方がみてみたかったと思う。あの演技なら編集次第で、できたと思う。ラストにだけ「現代での実存には秘密が必要」とか論文の考察文字と語りを入れるなら、マジで最初から入れた方が絶対良くなると思う。

あと、この映画の論点も、尾行をする面白みなのか、人間はあらゆる面を持っている事が言いたいのか、秘密を抱えているのが当たり前ということなのか。常に焦点がぼけてる。

人間に多面性があるなんてのは当たり前の話。そんな話は、平野啓一郎氏の『私とは何か---「個人」から「分人」へ』が秀逸。

 

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

 

 

 

そして、一番ダメなのはタイトル。

この映画は「二重生活」ではないでしょ。過去にも同タイトルの映画2作あることなんてちょっと調べたらわかるし、それをあえてやってるなら尚更最悪。

「尾行」「秘密」「擬装」っていうワードだとかに「生活」という言葉を合わせるとか。

ゴミ集積所の監視カメラ映像もなんかなぁ。「誰もが誰かに見られている」っていうメッセージ表現したいのか、ダサかったなぁ。

とにかく、たるい!(嫁さんから学習した三河弁)

 

点数:55点