炙るあざとさ 炙らない正直さ

刺身とか映画とかあれとかそれ

(79)HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY/ドラマとザム1についても

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 出典:HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY

見てからかなり時間がたってますが、HiGH&LOW THE MOVIE 3が公開される前にこちらについて書いておきます。

これはツッコミ所もめちゃくちゃありますが、それがゆえに最高に大好きな1作です。

 

HiGH&LOWシリーズは、TBSラジオのライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルでの応援上映特集と、あるブログの記事(これが見つからない)で興味を持ったことがきっかけで、手を出しました。そんな事でも無い限り、「EXILEのふざけた映画」というイメージしかなく、高校恋愛モノのように一切触れることはなかったかと。

ドラマシリーズから入ってみたのですが、世界観やキャラクターのあまりに漫画的な作り込みと、それを笑いにさせないセットのクオリティで、眠っていた中2心を呼び起こされた感が半端ない。

さらに特筆すべきはアクション。これが本当にかっこいい。TOP級のダンサーのアクションは世界レベルでした。まさしく魅せるケンカ。これにつきる。ドラマシリーズでコブラがスライディングしながらドラゴンスクリューをかけるシーンがあるんですが、これがまた最高にカッコイイ。思わず「好き」と口に出していたことはあえて書かせていただきたい。それくらい、異常にクオリティが高いケンカアクション。そして、THE MOVIE1のラストの乱闘シーンで、それはさらに輝きを魅せ「アクションがやばいHiGH&LOW」の地位は確立されたかと考えております。

あと、もう1個いいのが、音楽。これが、最初は笑えるんですけど、どんどんかっこよく聞こえてくる不思議。何度も何度も繰り返される、各チームのテーマ曲。これが中毒になって、好きなチームの音楽が流れるとアガるようになってくるんですよね。私は、音楽とファッションをテーマにしているチームMIGHTY WARRYORS(マイティウォーリア-ズ)が一番好きなのですが、マイティの拠点であるクラブFUNK JUNGLEでのライブシーンが世界で一番カッコイイライブシーンなのではないかと思わせるレベル。私、音楽も相当好きですが、このシーンだけはホントに何度も見ました。

ただ、それに反して脚本の粗さ、演者の演技のくささはどうしようもないのですが、そんな事はどうでもいいくらい前述したいくつかの点が最高に光っていました。

 

で、HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF THE SKY。とにかく、HiGH&LOWが持つ武器である「アクション」「キャラクター」「音楽」「世界観演出」をすべて磨いてきたなという、ハイロー好きにはたまらない映画でした。これぞヤンキーファンタジー。日本らしい新ジャンルの映画ですよ。

もう、ジェシーコブラの喧嘩シーンが最高すぎて、好きすぎて、公式TwitterのGIFで何回も見ました。

 

さらに、豪華俳優陣による、九龍会のメンツが最高。

マイティのLIVEシーンも、曲もまたまた最高で。キャッチーな煽りに、混じりたくなるLIVEをしてくるから、ホント最高でした。やはり、日々MVを作っている人達は、音楽がある場所の絵作りは天才的。

ストーリはUSBの奪い合いと、ホワイトラスカルズVSダウトの抗争にSWORDが混じって大乱闘という感じの2部構成。脈絡あるようでない感じがめちゃくちゃで、セリフも琥珀さんのとりあえず「ケンカ」といっちゃう感じとかやっぱり笑えます。シリアスなシーンでも笑えて、やっぱり脚本の構成はどうしようもないのです。山王連合会のダン、テッツ、千春によるDTCドラマ部分も、あえて描く必要性が感じられずで。そんなところに口出しだすとキリがないのであえて目をつぶってもいいくらい。

ま、そんな事はやはりどうでもいいくらい最高なので、漫画的世界観、半端じゃないケンカアクション、長回しのシーン、クオリティーの高いライブ、達磨一家の登場シーン、などなど書き切れないくらい最高なシーンに溢れてるので、シリーズ1作も見ていなくても、この作品だけ観る価値は大ありだと思います。

 

点数:91点

 

11月4日(土)先日の新宿ピカデリーで行われた、一足先に最新作の「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」が見られる、映画ハイローシリーズのオールナイト上映イベントに参加してきたのですが、THE MOVIE 3 / FINAL MISSIONの感想は・・・後ほど。泣

(78)ミックス。/かなりきついし薄い。

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出典:ミックス。 : フォトギャラリー 画像(2) - 映画.com

 

ミックス。

(お好きな方は、気分を害されるかとおもいますので、読み進めないようにお願い致します。©︎三角絞めさん)

こういう映画が好きな人がいるのもわかります。特に何も言わない、雰囲気映画。ハライチの岩井的に言うと「映画風」って感じ。いや、映画風でもないか。映画館なのに、サイドに黒帯が付いていた。映画館のスクリーンに家テレビの16:9サイズで映写していたので、これはテレビドラマや。というか、このサイズで作る予算しかないなら、テレビでやりましょうよ。

だから、ドラマ風。いや、ドラマ風でもない。この前やってたTBSの新ドラマ「監獄のお姫さま」の方が100倍良くできている。フジテレビよ、本気出せよ。

 

とりあえず、ひどかった。特に脚本がひどい。(すいません。個人の感想なので気になさらず。)冒頭からやめてくれよってシーン。そういう世界なんだといえばそうなるが、電車で見知らぬやつに近づくやつなんかいるかよ。田舎でも同じ。田舎は特別とか思って書いてるなら、その時点でキツい。映画の冒頭って、映画の命やろ。適当に書くなよ。

ガッキーの会社は実業団を作るくらいの会社なのに、庶務にチアなんかやらせるかよ。時代錯誤甚だしいし。

他にもいろいろ言いたいことありすぎるんですが、とりあえず間を抜いてラスト。

大会のある日曜に面接なんかする会社あるかいな。日曜に工場動かすわけないやろ。日曜に農業するかよ。農家はシビアに休むよ。
あと、セリフがひどい。それを言わされてるキャラクターもひどすぎる。キャラの背景の描き方も薄い。なんの感情移入もできない。
沢山俳優を見せたいのもわかる。フジに東宝が絡むなら、事務所利権も多いでしょう。ただ、それをやるならしっかり描け。「フラワー卓球チーム」って名前も一言申したいが、せめてあのチームメンバーの背景はしっかり描いてほしい。

試合に挑む動機、こういう日本映画にありがちな説明ゼリフでいいから、やろうや。広末の2面性の理由もハッキリしないし、極端すぎる。精神病に見えるくらい極端。さらに、唯一の高校生。

負けて凹んで、次へ!みたいなシーンで「稲中卓球部」をクスリとも笑わずに読むな。まさかとは思いますが、「卓球部」と書いてあるからスポ根マンガと勘違いして使った小道具じゃありませんよね??そうだとしたら、本当に寒気しかしない。「稲中」は漫画史に残る超下ネタギャグ漫画ですよ。小道具の使い方さえおかしい。

遠藤憲一夫婦の描き方もひどい。試合シーンを描けよ。試合に出ないのなら何故出ないのか。あの描き方は体調ではないでしょ。再起後の試合も描こうや。試合のシーンは無しという出演条件の契約なら、そんなやつチームに入れるなよ。ほんで、負けたならそこから何を得たのか描けよ。適当に子供の写真とか置いて、適当に二人を描くんやったら、あんなキャラ出すなよ。いらんわ。

かっこいい瑛太がボクサーである必要性はどこにあるんよ。あの工事現場シーンのしつこい描き方はなんなんよ。なんの気持ち良さも面白さもないよ。映画にもまったく関係ないやん。せめて、ボクサーっぽく殴りかかってやめるシーンくらいいれたらどうや。

ストーリーの説得性も全くないし、ほんと途中目を閉じたくなった。
救いは、蒼井優吉田豪太郎の振り切り具合とガッキーの可愛さとSHISHAMOの曲。この人たちは、こんな映画に関わらなくて良い。
いつの時代の演出やねんとおもわせるフジテレビの本当に酷すぎるクソ時代の演出。シーンに合わせた、それっぽい音楽も痛い。

とりあえず、一番キツイのは誰も卓球やってないこと。ピンポン球全部CGとかやめろ。


最後にもう一回。

映画館で中途半端なサイズの映像を流すな。予算の関係上やと思うけど、ちゃんとスクリーンをフルに使ってくれ。映画館サイズで映画作れよ。予算内なら、適当に映画作るのやめましょうよ。


フジよ、こういう作り方するからだめなんやって。過去の栄光にすがって、売れ線方程式使うのはやめて、また『帝一の國』みたいな、いい映画作ってくれよ。

 

点数:24点

(お笑い)キングオブコント2017/素人総評・にゃんこスターの衝撃

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出典:キングオブコント2017

 

Cygamesプレゼンツ

キングオブコント2017

年末が近づいてきたと感じさせる風物詩的イベント。お笑い好きのための楽しいお祭り「キングオブコント2017」。

松ちゃん、さまぁ〜ずバナナマンの審査体制になってから、落ち着いたいい大会になってます。

2,477組から勝ち上がった今回の決勝進出者は10組。コンビ名さえ聞いたこともない出場者が多い今回。だれが何を起こすかわからない、そういう大会の方が楽しみでいいですよね。時代は常に新しいスターを求めている。

上からエントリー順だそう。

にゃんこスター(フリー)
GAG少年楽団よしもとクリエイティブ・エージェンシー
アンガールズワタナベエンターテインメント
わらふぢなるおサンミュージックプロダクション
ゾフィー(フリー)
パーパーマセキ芸能社
ジャングルポケットよしもとクリエイティブ・エージェンシー
さらば青春の光(ザ・森東)
・アキナ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー
かまいたちよしもとクリエイティブ・エージェンシー

【エントリー番号順】

 出典:キングオブコント2017

 

はい。ということで、見ました。

録画でも2回みました。ある組はその後何回も見返しています。いやぁ、楽しかったなぁ〜。

とりあえずネタ順にコメントしていこうかと。

 

1組目:わらふぢなるお

コールセンターネタ。漫才でもできそうなネタでしたね。身構えている視聴者にもちょうどよいスタートネタかと。オーソドックスで。ただ、ラストオチの選択はなんとも言えない。あれで、ネタの方向性がぶれたような。とにかく変なコールセンターの人を描くか、距離が遠いと思っていた二人の関係性が実は近かったというホラー方向にするか。後者だと難易度も高くて、笑いがぶれますからね。演者評としては、ボケのふぢわらさん(ぢにする意味よ)はコントよりも、採点待ちのときの浜ちゃんとのやりとりが素晴らしかった。今大会No.1でしたね。ある程度言うことを決めていたとは思うが、レジェンド浜ちゃんに物怖じせずボケてた。アナウンサーが採点ルールを説明した後の「ちょっと何言ってるかわからない」ってのは、サンドイッチマンにルーツを感じるナイスボケ。堂々としてたし、浜ちゃんからナチュラルなツッコミをもらえていたのは素晴らしい。ツッコミ側の人は、コント中もうちょっと振り切ってツッコミするか、淡々とツッコむか、ある程度方向性は決めた方がいいかなとは思いました。

 

2組目:ジャングルポケット

うまい。設定も、演者もうまい。さすがです。設定に引き込む空気感の作り方は一番上手かも。やっぱり斎藤さんの声の張り方、顔芸がいい。単純におもしろい。ネタもいいんですけど、気になるところもあったりはします。商談で急いでいる設定ならカバンもたせた方がいい。商談で上に行くエレベーターなら、1階設定の可能性が高いが、エレベーターを呼ぶボタンが上下ついていて気になった。さらに1階なら、もっといろんな人くるやろうと思ったり。こんなシチュエーションコントなら、ホテルの高層階から降りるシーンとかの方がおもしろいような。あと、兄妹設定はあまり面白みが弱いので変えたほうがいい。もっと続きが気になるようななんかね。ま、思いつきませんな。松ちゃんは「エレーベーターの開け閉めタイミングが少しずれてたかも」と。うむ。やはり、笑いは間が命ですね。

 

3組目:かまいたち

一番笑った。寝る前に思い出し笑いするくらいおもしろい。この日一番面白かったコントでしたね。特に覗きがバレているかものくだりが絶品。かまいたち得意の「般若」ワードからの般若タトゥーネタは、ゴールデンタイムでこれはあかんやろと思ったけど、後のスタンガンにめちゃくちゃ効いててスゲェ感心。笑ったなぁ。会場もめちゃくちゃウケてたし。浜ちゃんとのやりとりでは、大会にかけてる感がビシビシすごすぎて、もうちょっとリラックスしてくれよと思いました。しかし、おもしろかったなぁ。これは確かに1番です。

 

4組目:アンガールズ

この二人出なくていい。浅草の老漫才師かのような名人芸。空気感を作るのがうますぎる。細長身という唯一無二のキャラが出来上がっているから二人が出てきた瞬間に世界観が伝わる。出てきただけで空気作れるってすごいこと。賞レースで優勝するネタではないけど、ニヤニヤ面白いし、ゆるゆるっと見たい。安定しすぎ。ファイナルのコメントで「単独ライブのチケットが売れなくて」と言ってたから、それがすべてやったんでしょうね。来年は出なくて良い!

 

5組目:パーパー

このコンビ、男が圧倒的にいい。ほしのディスコさんって名前なんですね。声が綺麗だし、しかめ顔のしゃべり芸が抜群にいい。語り方もうまいし。このコンビが売れるには、女の子やろうなぁ。演じ方に意図がないというか、わざとっぽい棒読みもまだまだ修正の余地がある。浜ちゃんに緊張したかと聞かれて「微妙」と答えるところも全然ダメ。ひょうひょうとやるだけはよくない。本気のほしのディスコについて行くべし!頑張れ。面白かった。

 

6組目:さらば青春の光

 ま、そらおもしろい。居酒屋シチュエーション。日常の中で発見するありそうな発見。足りないものがあるとするとネタの選び方か。このネタも面白いけど、賞レースで勝つためのネタはなにか一つ大笑いが必要。決勝にもってくるネタをしっかり選べばちゃんと優勝できると思う。キングになるところは見てみたいし。ネタ中、東さんの頭にキラキラしたものがついてて気になったなぁ。優勝してもバカ売れはしなさそうやけど。

 

7組目:にゃんこスター

いやいや、すごいのが来た。紹介VTRからのちょっと怪しい感じですでにワクワクさせられてしまっていたんですけど、もう期待値を大幅に超えられた。すごいものを見たというザワザワがしばらくおさまらなかった。というか、いまだに残っているかも。スーパー3助が「おいらは縄跳び大好き少年だよ〜」って登場してきて、こいつら大丈夫か?からの大塚愛さくらんぼ」ではじめるめちゃくちゃうまい縄跳び。うまいなぁと思ってたら3助が「上手だね〜」謎のテンションで実況とツッコミをはじめる。サビダンスでのツッコミ、伝説の縄跳び、からの衝撃の自己紹介で、二人一緒に手を振る。これ、説明できひんな。なんというか、三村さんの審査コメントが全てを表現していた。「いや、コントに決まりなんてないし、、、家帰ってもう一回見たいもん」。そう、ルールは、4分という時間制限と、テレビで流せるネタで、笑わせられればなにやってもいい。公式の審査基準もこうである。

審査基準

とにかくおもしろいコント芸

このにゃんこスターまで、コントの設定とかリアリティとか、説得力が弱いとか、細かく書いてましたが、この二人の世界観にはそんな野暮なことはいっさい必要ない。ここまでの細かく凝った設定や境遇、キャラなどでがんばってきたコンビたちをただただフリに使ってきたかのような壊し芸。浜ちゃんも淡々と点数説明を始めるアナウンサーを止めて「まてまて、審査員に衝撃が走ってるねん」と言わせるくらい。ずっと続いてた大会独特の緊張感をうまく壊した。このネタ、適当にやっているような二人にみえるけど、相当練り上げられていると思う。スーパー3助のツッコミの張り方、動き方もうまい。あのなんとも言えないテンション、動きが下手だと全然ダメ。そんな踊り待ってないのに、待ってたかもと思わせる雰囲気。「おいら」「僕」「オレ」と一人称を微妙に使い変えてるし。かなりの妙手。そして、アンゴラ村長の踊りのキレの良さと、かわいさをたもちながら表現する憎たらしい顔芸。選曲もさくらんぼ使うあたりのセンスの良さ。さらにあの曲使って「もう一回」をスルーしてたのもすばらしい。二人ともルックスがよく、メチャクチャ売れそう。スーパー3助はサカナクションのボーカルみたいやし、アンゴラ村長のちょうどいいブサカワ感。

浜ちゃんが1位になった瞬間に二人の頭を叩くシーンがあって、そこがものすごい感動的。スーパー3助が直接叩かれたくて帽子を取ろうとするも間に合わないあたりも、笑いへの愛を感じる。浜ちゃんは、この後も何回もにゃんこスターの名前をコメントに出していて、相当にこの二人が生み出した空気感を認めたんだと思う。あ〜衝撃すぎる。

 

8組目:アキナ

順番が悪い。ホラーというかサイコ的笑いか。コント尺でやるネタではないなぁ。黒沢清監督の映画のように、奇妙なセリフのやりとりがおもしろいが。順番も悪いんですけど、これ決勝で点を取りに行くネタではない。単独ライブの3個目とかで、さらっとやるようなネタな気が。あと、SEが長すぎるし、暗転する時間も長い。もっと音も編集して、構成しないと。ただ、うちの妻は大好きなネタだったようです。一番好きだったようです。黒沢清映画好きやからなぁ。ま、会場がまだにゃんこスターに引っ張られすぎてたんでしょうね。浜ちゃんもアキナがでてきてるのに「にゃんこスターが1位ってすごいなぁ」ってさすがにかわいそうw 

 

 9組目:GAG少年楽団

関西にいたころからオールザッツ漫才とかでたまに見てましたけど、一回もおもしろいと思ったことがなかったんですよね。ただ、すごい頑張っている感があったから、今回の決勝に残ったと聞いて、ものすごく楽しみにしてました。しかし、全然変わってなかった。ちょっと、なにしてんねんと思った。相変わらず設定が甘いし、脚本も甘いし、ツッコミも弱い。もっともっともっと詰めた方がいい。今回のネタで言うと、全く現実的でない「50後半までずっと続けてる幼馴染との三角関係」という設定からきつい。さらに、その3人が社会的に成功しているって、そんなわけないやろ。あと、社会的に成功しているのにプレハブ小屋に集まるという世界観。全然ダメすぎる。さらに、50代後半の演技ではない。たぶんこの年齢だとこんなこと言うやろなぁという想像でセリフも考えているから、リアリティーもまったくない。コントにリアリティーは必要ないけど、この世界観には必須。この設定をやるなら、30代とか自分たちの年齢にあった年代にして、セリフももっとリアリティーにしてやるべき。いつも思うけど、演技もたいしてうまくないからこの人たち等身大の設定でコントした方がいいのに。最下位は妥当かと。

 

10組目:ゾフィー

ふたりともめちゃくちゃ声が出ていてうまかった。めっちゃライブ慣れしてるんやろうなぁ。やってる感がでてる。もっと他のネタも見てみたい。が、しかし、、、この二人の敗因は「ネタ選び」。それだけ。日曜日の20時台の地上波で、お母さんを「メシ」呼ばわりするネタはいかん。センスがなさすぎる。いや、おもしろかったんですけど、ここでやるネタではない。ほんとダメダメ。その空気が読めないと。現場で鍛えあげたがゆえのテレビ慣れしてないところがここに現れるか。このネタに高い点を上げると、審査員も同調したことになるし、点数はあげにくい。うちの妻も怒ってた。芸人って1度嫌われたところから好きになってもらうのって、めちゃくちゃ大変やのに。三村さんが言ってたけど「お母さんはメシじゃないんで」。それにつきる。

 

ファイナルステージ

 

ファイナル1組目:アンガールズ

やっぱり面白い。優勝狙いの、気合入ってるネタだったと思う。田中さんが10年間ストーカーしてそうと思える雰囲気の出し方もうまい。「法の中で暴れてるだけ〜」「こんなやつがいたんだよ〜」というすばらしいパンチラインもでた。ラストのオチだけで100点あげてもいいくらい。楽しい二人やで。すばらしいわ。

 

ファイナル2組目:ジャングルポケット

ちょっと2本目のネタは弱い。1本目が良すぎた。設定やキャラが甘い。設定練るならちゃんとやらないと。捕まってる斎藤さんが縛られてないのもよくわからんし、「殺される空気よりもロッカーに叩きつけられるのが嫌」っていうのも現実味がない。ここでの現実味の必要性って斎藤さんのツッコミに説得力を持たせるために超重要。3回目で「やめてぇ〜」ってのも早かった気もする。おたけが音で反応する設定なのかどうなのかも曖昧になって、よくわからんかったし。ま、そんなこと言っておきながら笑ったし、やっぱりおもしろかった。

 

ファイナル3組目:さらば青春の光

バナナマンが言ってたけど、設定が素晴らしすぎる。ピカイチ。その設定のおもしろさを説明する前に、観ている観客側にも「あれ?これってあれじゃね?」って気付かせるツッコミとタイミングと、間もバッチリ。森田さんの幸が薄そうな警備員感も100点。ただ、素晴らしすぎる冒頭からの展開が弱いから爆笑も起き難い。劇団員設定も、このバイトと相反するような気もしますね。「幸せではないですよ〜」って展開に持っていくのではなく、「いやいや幸せですよ、僕にとっての幸せって、帰った時に一人で飲む缶ビールなんですよ」とかにしておいて「幸せってなんだとおもいますか」みたいなやりとりの方向性が変わるっていく展開もありかと。そのパワースポットにきた東さんも何かバックボーンがあったみたいな設定にして、楽しい幸せコントorカオスにして終わるとか。ワードセンスがそうとう要求されますが。しかし、すごい設定に気づいたなぁ。面白いコントやなぁ。

 

ファイナル4組目:かまいたち

MサイズとXSサイズの間違いだけが気になるくらいで、もうずっと面白かった。山内さんのセリフ使いが優勝を感じさせた。「ウェットスーツの面積減らしたいだけじゃない」「目処が立ってんねん」パンチラインもたくさん。ラストのパンツ脱げるんちゃうかっていう心配と、叩きつけすぎやろっていうラスト落ち前がちょっといまいちでしたね。オチまでの足だけになるくだりももうひとつセリフ遊びがほしかったですね。ツッコミとボケが1本目と2本目で交代するあたり、二人のお笑い巧者っぷりがあらわれまくってて、今大会のチャンピオンにふさわしかったと思います。

 

ファイナル5組目:にゃんこスター

もう、1本目のあとからずっと待ってましたよ。2本目になにをやるのか。その期待感がもうはんぱない。それだけ、この日の空気をもっていっている。そんな中で、また全く同じ構成のネタ。「またやるんかい!」とテレビの前の皆さんは、間違いなく心の中でツッコミをしたと思う。「もう一回観たい」といった三村マインドのリクエストに答えるように、フラフープバージョンでやっちゃう感じ。もう、待ってましたという感じで笑えたんですが、縄跳びに比べるとフラフープ芸のクオリティがちょっと弱かったなぁ。アンゴラ村長さんも言ってましたね。苦手やと。あと、1本目でネタバレしてるから、「あ、このフラフープの神様の裏ににゃんこスターの絵があるんやろうな」と予想がついてしまう。それでも、ラストの「にゃんこスターでした〜」は、Eテレやアニメのエンディングのような、いつも同じものが見られる安心感と多幸感があり、全てをアリにしてしまう。あのラストのずるさは、どんなネタであってもほっこりとした空気感で終えられる最強の武器でもある。これ、最後みんなで一緒に言ってくださいね!っていうお笑いライブではありえなかったコール&レスポンスが実現しそうですね。てか、やってほしいし、ライブ見に行っていいたい!!観客「あ、あ、あ、ネタ終わりそう!ネタ終わりそう!ネタ終わりそう!」スーパー3助「僕たちのコンビ名は〜 せ〜の」

観客全員「にゃんこスターでした〜〜〜〜〜〜!!!」(手を振る)あ〜想像するだけで幸せ。浜ちゃんとのやりとりで空気が読めないアンゴラ村長が怖かったけど。

 

ということで、優勝はかまいたち。準優勝は独自の道を作って走りきったにゃんこスター。最高のキングオブコントでしたね。かまいたちおめでとう!!!ただ、にゃんこスターの回でしたね。

 

にゃんこスターの1本目を今週だけで30回は観たなぁ。それぐらいはまっている。

 

100点

(77)帝一の國/ナーメテーター・・・最&高。

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出典:帝一の國 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

帝一の國

完全にスルー、、、いや、観るつもりなんて全くなかったんですが、会社のソウルメイトからまじで観ろと激推しされたので鑑賞。

なんやねんこれ。ふざけんなよ。クソおもろいやないかい。完全にナーメテーター(fromライムスター宇多丸)ムービーです。パンフレットまで買ってしもうたやないかい!

原作漫画は未読。しかし、映画全体を通して感じる漫画的テンションや表情、キャラクター描写。この演出を貫き通した監督は素晴らしい。

永井聡監督はAOI Pro.のCM出身の監督。たしかに、画作りや演出もはCMの世界で15秒のうちの1秒1秒を大切にして来た人の演出というか。

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出典:帝一の國 : フォトギャラリー 画像(12) - 映画.com

さらに、この映画の素晴らしいところは、脚本。話の筋の通し方や、キャラクターが行動する動機の合理性がめちゃくちゃしっかりしてる。原作漫画をうまくまとめているようで、漫画も読まないといけませんな。

あと、演者さん。最高ですね。菅田将暉を筆頭に演技がめちゃくちゃいい。出演者のほとんどが仮面ライダーとか戦隊モノ出演者らしく、映画館も8割女子でしたが、俺も惚れそうになるカッコ良さ。何がカッコイイって、本気で演じてるし、作品に正面から向き合ってる感じ。演者が輝いている映画ですよ。

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出典:帝一の國 : フォトギャラリー 画像(16) - 映画.com

 吉田鋼太郎菅田将暉の親子シーンの真剣だからこそ笑えるあの空気感。竹内涼真演じる大鷹弾の男前具合。千葉優大の空気感。それに、、、はぁ、もう一回見るか。

 

点数:91点

(76)ムーンライト/何もないけど、なんか残る。

仕事に時間取られて、さぼってしまって、間が空いてしまいました。

誰も読んでないかも知れませんが、久々にポストします。

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出展:ムーンライト : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

ムーンライト

ライムスター宇多丸先生のタマフルでも取り上げられてたこともあり、アカデミー賞の作品賞で、なんとなくBGLT系の映画でかつ、カラリストがかなり独特との前情報程度で観に行ってきました。

最初のシーンから何か独特な雰囲気。

治安が悪そうな雰囲気を、頭悪そうなドラッグディーラー、ツケをためている中毒者のやりとりで表現し、話している英語の聞き取りにくさ、映る風景の荒廃具合から、匂わせる。

本題は同性愛者である主人公シャロンの姿を、少年時代、10代、大人の3幕に分けて描く映画。正直、ストーリーについては情報無しだったので、主人公がゲイの映画と途中まで気付かずで、ミスりました。主人公がゲイっていう視点で観ると冒頭からのシーンもかなり違う視点で観られたと思います。

リトル時代に出てくるフアン(マハーシャラ・アリ)が一番よかったなぁ。中毒者には説教しているのに、ドラッグディーラーである矛盾を用いた人間像。成り行きでみることになったシャロンの面倒を、途中からは何かへの罪悪感、責任感から世話をみているかのように変わる雰囲気の醸し出し方。あの空気感はそうそう普通の俳優には出せないと思う。

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出典:ムーンライト : フォトギャラリー 画像(8) - 映画.com

 

特筆すべきは、映画全体に漂う「空気感」

あえてピントを固定して、演者の動きで合わせる独特なカメラワークや、黒人の肌のパキッとした黒光りの色。私程度のリスニングでは全く聞き取れない台詞回しのリアル感。月明かりのようにぼんやりとしたストーリー。

「ムーンライト」というタイトルでさえ評価できる作品。

映画を観ているのに、小説を読んだ後の読後感ににているような感覚におちいる不思議な映画でした。

何もないんですけど、何かあったような。

観た後に、映画の中のストーリーの意味を探してしまう映画でした。

良作です。

 

点数:89点

 

(75)ショコラ 君がいて、僕がいる/磨くべきはピエロ芸??

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参照:ショコラ 君がいて、僕がいる : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 

ショコラ 君がいて、僕がいる

1897年から始まるフランスで実際に活躍したピエロ・フティットと黒人芸人・ショコラのお話。

当時、白人世界だったフランスで初めて活躍した黒人芸人ショコラ。それだけで題材としてはおもしろくなりそうなんですが、、、フランスの旧時代にあった人種差別、ショコラという人物像、フティットがなぜショコラを選んだのか、二人で行う芸へのこだわり、芸への工夫、生活様式、成功後の暮らし方の理由などなどと、描ける点はたくさんありそうなのですが、正直どれも描かれているようで描かれていなかった。

こういうストーリーにするなら、ショコラとフティットの二人に焦点をもっともっと絞ってもよかったんじゃなかろうか。特にフティットの人間性が全く描かれていない。なぜショコラにこだわるのか。黒人だから?それならショコラを道具としてとらえているのか?いやいや、そんな事は無いはず。フティットにも葛藤はあったはず。相棒としてのショコラを守るのは一人の人間として、相方として認めているから。牢獄に迎えに行く姿からもそんな一面は垣間見えます。

一方の差別されるネタを笑いに変えて豪遊するショコラも、そのストレスを酒やギャンブルに変えていたのかと思いきや、実はギャンブル・豪遊が好きなだけだったようにも見える。今まで持ったことがなかったマニーを手に入れ、気が大きくなって豪遊するショコラ。諭すフティット。サブタイトルにある、この二人の関係性って?支え合っているようには見えない。新ネタの打ち合わせをしようとするフティットからは向上心は観られた。ショコラをただ単なる、自業自得芸人に描きたいのか?

そして、二人がショコラのケツを蹴る芸しかしていなかったようにフォーカスするこの脚本は、ちょっとモデルとなった二人にリスペクトが感じられない。二人の芸が映画の中(100年前のフランス)では受けてるんですけど、正直全然おもしろくない。その時代に生きる人だけが笑えるのかと最初は割り切ってみてましたが、やっぱりそこが一番の致命傷だったと思います。

はっきりいって、最後に流れる映画の元ネタになったホンモノの二人のモノクロフィルムの芸が一番面白かった。全然お尻蹴るだけの芸じゃないやん。

それにつきます。

 

点数:62点

(74)沈黙 サイレンス/名作です。信仰とはなにか。何を守るべきなのか。

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出典:沈黙 サイレンス : フォトギャラリー 画像(7) - 映画.com

 

沈黙 サイレンス

(ネタバレあります)

私、宗教の話が大好物でして。といっても、私自身は無宗教(お葬式はもちろん仏教だろうし、神社も参りますし)。十代の時に行ったインドで、信仰に厚い人達や、その人達が取る行動、環境、文化がもすごく衝撃的で、それから「宗教」に興味を持ち出しましたねぇ。日本人の中には、ぼんやりとしか存在してへんように感じる宗教。国内の寺社仏閣はものすごく多いですし、そんな宗教施設が今でも昔の形のママ残ってる姿は、色んな方々のお布施だったり賽銭だったりで。やはり日本人も何かにすがりたいんでしょうし。そんな、ぼんやりとしか日本人の頭にないテーマを描ききった本作。

最高の映画でしたよ。

マーティン・スコセッシ監督はすばらしいです。さすが。構想28年かけてよく作ってくれました。ほんとにありがとうございます。しっかり映画としておもしろいし、3時間近い上映時間も全く退屈することなく見ることができた。いい映画観たなぁ〜と。

とりあえず、映画全体がすばらしいんですが、俳優さんがまず良いので。

 

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出典:沈黙 サイレンス : フォトギャラリー 画像(2) - 映画.com

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出典:沈黙 サイレンス : フォトギャラリー 画像(6) - 映画.com

 

宣教師役のアンドリュー・ガーフィールドの葛藤に苦しむ姿、棄教したリーアム・ニーソンの気まずそうな語り。日本人俳優勢の、一方的すぎない演技。皆さん最高のパフォーマンスを見せてくれて、ほんと素晴らしかった。

イッセー尾形演じる井上筑後守が棄教したロドリゴに「Welcome」と初めて言うシーンなんて「うまい!」と思いましたよね。間が絶妙。

あと、窪塚洋介演じるキチジローも調子よくいらつかせる感じがいいんですよね。キリスト教から離れたように見せかけて、すぐに信仰心を出して近より、また棄てたように見せる。人間性が憎めない。大好きなブログの三角締めさんがうまいことゆうてはったんで、引用します。

最初は、裏切っては赦しを求めるキチジローにイラッとしたんですが、最終的には「人と宗教の距離感はこのぐらいで良いんじゃないか」と考えさせられるようになって。

参照:沈黙 サイレンス(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて

そう、実は宗教観ってキチジローくらいの距離でいいんではないかと。

「信仰とはなんなのか。何を守るべきなのか。そこまでして守る信仰とはいったいなんのためなのか。誰のため?自分のため?信じたキリスト教のため?」この映画でロドリゴが悩むテーマでもあり、この映画を観ている者にも語りかけているテーマやないかと。

ロドリゴにとっては、キリスト教を棄てることって、それまで信仰していた人生を否定(=今まで生きてきた自分を否定)することとイコールになってしまう。それが一番嫌だったのかも知れませんね。深い信仰心にあるひとつの怖さですよね。

宗教は、好きなときにすがれる存在でいいのではないかと、日本人的見解。

そうそう、日本の描かれ方も非常に良かったです。棄教という行為の上で、やってることはめちゃくちゃですが、日本という独特の文化を持つ国がなぜ他国に影響されすぎず、ほどよく保たれていたのか。日本独自の精神性・文化の理由も描かれていたようにも感じました。

日本におけるキリスト教の宣教と、貿易によって得られた利益、鎖国による海外文化の善し悪しなど、日本での他国とのバランス間がどこで崩れていったかなど、勉強するとおもしろそうやなぁ。

なにはともあれ、音楽も自然音のみで(聞こえない程度に音楽流れているそうですが)本当に静かで、どっぷり入り込める作品だったかと思います。

宗教話は日本では三大タブー話題の一つなので、そうそう語り合える話でもないので、こういう作品がメジャーとして出てくることに喜びと敬意を表したいです。

この作品を書き上げた遠藤周作としっかり映画化したマーティン・スコセッシ監督にリスペクトを送ります。

 

点数:93点

 

 

沈黙 (新潮文庫)

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